カルルス温泉は農漁村の湯治場


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カルルスは農漁村からの湯治場

健太も留学決定で感慨が微妙だ

カルルスの正月過ぎは、湯治の人で賑わいを見せる。
特別な名所旧跡はないが、道内の農家や漁師のの人たちが好んでカルルスの温泉に来ます。湯治のお客さんは、自前の綿入れのドテラを着て散歩に出て、土地の人達とも顔馴染だ。

5~6軒の旅館しかないのですが、年間の予定に「湯治」が組み込まれ2~4週間はのんびり過ごしてゆきます。食事は原則自炊ですが、地域に日用品のお店が一軒だけで、食料品は各旅館が幌別や室蘭から仕入れますが、湯治のお客さんは殆どが自前の野菜や魚類も十分用意してきます。

旅館も、市場や問屋より湯治のお客さんから定期的に格安で購入し、お互いに好い関係ができています。お客さんも湯治仲間で物々交換をして、美味しい食料品が手に入るので、毎年の行事が継続されていました。

【真冬のオロフレ街道】

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健太の留学が決まり、祖父もこれといってナニも無いのだが散歩に行くとき誘いにくる。散歩と言っても、祖父千治と健太の散歩はただ道を歩くのではなく、冬でも山の中を根曲がり竹をかき分けながら、進む。

倒れている根曲がり竹を何気なくまたぐと、何かの拍子に勢いよく立ち上がって襲い掛かる。枯れ枝などで抑えれていたのが、前を行く祖父のショックで起き上がるわけだ。マイクを救出したときは、6月ごろだったが、今は若竹も密生し歩きにくいが、もう少しすると根雪が若竹を押し曲げてしまう。

祖父は、山の厳しを教え

自然の動植物にも気を配る

「山では、飛ぶな!着地場所が良く見える平らな場所なら構わないが、足を挫いたり踏み抜いたり、飛んで碌なことは無いから!」とか
「登りも下りも両手を使えるようにして、3点支持を絶対忘れるな!」とか
「山菜もキノコも、半分だけ貰って半分を残せば、鳥や動物たちも平等に生きて行けるだろう!」とか、健太にとって、何度か聞かされ今聞くと身に沁みる重さを感じる。

もう少しで、カルルスを離れるが、友達は
「健ちゃんはお祖父さんに連れられて、山歩きをするから体がしっかりしていると、うちの父が言っているが面白い事あるの?」
「面白いことなど無いが、山の中を歩いていると、ホットするときが有るんだよ」
「あんな薮の中で、ホットするなんて変だよ」と、納得しない。

健太も、意地をはって
「【山は神聖なんだ!】ってさ!この間の歩くスキーでも、祖父がザイルを持たしてくれたので、小百合ちゃんを素早く助けられたじゃないか、じっちゃんは山を知り尽くして、尊敬もしているようなんだ」と、祖父の偉大さを自慢してしまった。

岩井くんは
「お祖父ちゃんは、凄いよな外国船の船員で英語を話せるし、山を自分の庭の様に知っていて超人だよな」と、羨ましそうだった。
「家の祖父は、お客さんと碁を打つのが仕事のようで、時々散歩するが健ちゃんとこのお祖父さんのように逞しくもないしさ!と、不満そうだ。健太は、その話を聞くと祖父の存在が誇らしく思う。
「お祖父ちゃんは、岩井くんのお祖父ちゃんより少し若く、若い時から外国を回って苦労したらしいよ!」と、健太は少し自慢した。

周りも寂しそうだ

マイクの正式訪問

その日の夕方、マイクから電話があった
「外出許可が出たので、カルルスに行きたいのですが、好いでしょうか?」と、養父は
「何時でもいいですが、2月になると雪が多くなるので、早めの方が好いでしょうね」
「行く日が決まったら、又お電話しますがホテルを予約して下さい」

「いあ~ここにはホテルが無いので、登別温泉のホテルなら予約できますが、私の家でも好いですよ」と、言うと
「お家にはお邪魔しますが、怪我したとき和田先生の診療別荘や洞窟生活の体験したので、今度は旅館で十分です」

「雪が降りますので、路線バスの除雪はして居ますが、積雪によって登別温泉から馬橇になるかも知れませんね」と、養父が軽く言う
「馬橇って何ですか?」と、マイクが驚いたようだ。養父が困った顔をしているので
「お養父さん、幌馬車の車輪を外して、スキーを付けた乗り物だよって言えばわかるよ!」と、言うと
「アッそうか健太は頭がいいよ」と、言いながら
「マイク聞こえたかい?健太の説明だと幌馬車にスキーを付けた乗り物だとさ!」
「はいっ 分かりました、登別まで車で行って、そこで判断します、千治さんにも伝えてください」と、言って電話を切った。

家族・友人が

養父と養母も覚悟したか?

養父は
「健太、いよいよだなあ~決断の時が近づいてきたな~」と、寂しそうな顔をする。それを聞いた養母が
「決断するのは貴方でしょう!」と、厳しい一言。
「何を言うか、寂しいくせに! 人ごとのような口ぶりなんだから~」と、なげく。養母は
「なんだか、かぐや姫のおばあちゃんの心境ね」と、しんみり言う。いまは、昨年末の歩くスキーで小百合ちゃんが、左腕と右足に怪我をして、札幌の病院に入院しているので、なおさら寂しそうだ。

健太はおもわず
「戦争に行くわけでは無いのですから、大げさに考えないでください」と、言ったが、
「いや~5年や10年は帰れないだろうな~」と、養父が
「そうだね、中学、高校、大学まで10年はかかるね、仕事もアメリカで決まったら何時になるやら~」と、二人で口に出して確認したような、あきらめ顔になる。

翌日、祖父に会って話すと
「それだけお前に期待が掛かって居たという事さ」と軽く受け流したが、祖父も寂し気な顔になった。今日は、オロフレ山も真っ白なので
「じっちゃん、オロフレも真っ白だね~」

「そうだ、もうすぐ根雪になるだろうな」健太は何となく、
「マイクは本気なのだろうか?」と、つぶやいた。
「また来て、話を進めるのだから真剣に考えているのだろう」と、祖父も声が弱々しい。

「本当は、僕、自信が無いのですが~」
「わしも、お前を離したくないが、こんなチャンスは2度と無いと思うよ、マイクの好意に甘えてみるのも良いのかなと思うよ」
「向うへ行ったら、簡単には戻れないだろうね」と、健太は先のことを考えた。
「少なくて、5~6年か、長くて10~15年くらいは頑張ることが大事だと思うよ、わしも、若い時に家を離れたので、お前の気持ちが良く分かるが、自分の気持ちを大事にして、決断は自分でしなさい」と、言い優しい眼差しで健太の顔をじっと見つめていた。

健太も決心したように
「はいっ 分かりました、踏みだしたら迷いません、桧原の養父にも教わりました、柔道も迷う前に体を動かせと言われ続けています、迷ったら負けなのですね、柔道も人生も」と、養父の言葉を思いだした。

「正ちゃんも、寂しいだろうな黒帯候補を手放すのは~」と、祖父も苦笑いした。

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