ヘンリーがマイクの伝言

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ケンタの進路に迷い

合宿が終わって再燃

家に帰っても、ご両親も会話が少く沈みがちだ。前田先生の話で、お父さんにも加わって貰いたいのだが どんなふうに切りだせばいいのか悩ましい…今日も、ニックが途中まで一緒だったが、肝心のことは話せなかった。いつの間にか、家の前にいた。クワイッも感じるのか最近元気がなく、ワンと言う声も弱々しい。

今日のクワイッは、すこし緊張気味にサークルの中を忙しなく歩きまわっている。「クワイッどうしたの!」柵越しにのど元を擦ってやると「くーん」と言いながら落ち着いた。

「ただいま」と大きな声を出して玄関に入った。来客のようだ。

ピカピカの軍靴に、一瞬気持ちが揺らいだがそんなバカな話はある訳ないよと、打ち消しながら居間のドアを押した。なんとそこには、フォートルイスのヘンリーがソフアに掛け、両親と話していた。「あ~いらしゃい、ヘンリーさん」と、挨拶した。「あ~丁度良かったね、今 サタケさんに話していたところです」と、ヘンリーが中腰で会釈した。

(額あじさい)

「健太くんも一緒に聞きましょう」と、お父さんがソフアを指した。お母さんが
「まだ夕飯には早いので、コーヒーでいい?」
「はい お願いします」と、返事するとお母さんがキッチンに戻った。
「この間の葬儀の時は、時間が無かったし僕が先行したので、バークレー中佐が【所属は違うが、マイクのロッカーはヘンリーに任せよう】と僕が帰るまで整理しなかったのです」ヘンリーは、陸軍の航空隊所属だった。

「マイクには悪かったのですが、最近の日記が有ったので無断で読んでしまいました。みなさん申し訳ありませんでした」と、ヘンリーがチョット頭を下げた。
「ヘンリーさん、それは職務だから謝ることじゃないですよ!何か書いてありましたか?」

襲撃の前の日に

「はい 襲撃の前の日に【嫌な予感が強くなった】ような書き方で、6か月前くらいから隊内で監視の眼を感じていたようです」「誰かに、相談して居なかったのですかね?」と、お父さん。「再手術の件で、気が弱くなった居たようでしたが、時々僕の名前を書いていましたが電話などはありませんでした」
「すぐ隣に勤務していたのですが、赴任した時1回だけ電話があり【その内食事でもしよう】と約束をして事件の日、会議で一緒になり夕食をとりました」

「食事が終わった時、まだ話があるという事でしたから、その話をする予定だったのでしょう・ ・ ・トイレに立ったのが・ ・ ・」
「僕が付いて行けば~こんな事にはならなかったのですが~」と、うつむき目をこすって話しが止まる。襲われた直前まで一緒だった、ヘンリーとしては悔しく慙愧な気持ちが今でも続いている様だ!

「ヘンリーさん、それはマイクに運が無かったのです、あなたが気に病むことはないのです」と、お父さんがヘンリーの手を握った。少しは気を取り直して、顔を上げて静かに切り出した。「それとは違う話が一件あります。昨日 アーウインのリチャード中佐から電話がありました、健太くんのことでした」

マイクは健太の進路も考慮

米国の国籍が許可された

「僕のことですか」と、健太は驚いて大きな声になった。
「はい【ご両親のご心労も大変でしょうが、健太くんも、兄のように頼りにしているマイクが亡くなり、気落ちしているはずだから今後も何かと相談にのってくれ】という事でした」
「実は、今度 勤務地が変わるのです、明日からウエストポイントに移動することになりました」「陸軍士官学校は母校ですね」と、お父さんが小さくうなずく

「はい 飛行隊関係の教官を1年間担当することになりました、実はリチャード中佐が、健太くんの国籍取得の連絡を呉れたのです」「あの方はマイクとは年も離れ階級も違うのに、優しい方ですね」と、お父さんはしんみりと話す。

「はい 僕は初対面でしたがマイクの親友という事で信頼をいただき、いろいろとアドバイスを貰いました」「そうだね、手紙にもあったが健太くんの進路のことも、我が子のように配慮してくれていたよ」

「実はおとうさん、今日 前田先生に呼ばれて話をしてきました」と、健太が割り込んだ。
「今の話に、関連するようなことかい?」と、お父さん。「少しだけあると思います、進路の話で、明日の午後校長先生と前田先生が、ご相談にのって呉れるそうなのです、ご一緒出来ないでしょうか?」「それはありがたい話だな、是非行きますよ」

「ヘンリーさん、すみません余計なことかもしれませんが、未だ時間はありますか?」
「大丈夫ですよ、10時の飛行機ですから」

「ウエストポイントに飛行場が有るそうですね」「はい 今回の勤務地になるのですが、スチュワート飛行場は陸軍の飛行部隊の本拠地なのです、現在は民間機も利用しているので、便利になりました、あっごめん健太くんの話でしたね」
「はい お父さんとお母さんもご一緒に聞いて欲しいんですが」

「なんですか?私も行きますか?」と、お母さんが顔をだす。「お願いします」健太が念を押すと、お母さんもキッチンからトレーにクッキーを載せ居間に来た。

「実は、留学したころハイスクールから大学に進み、法律を専攻しようと考えて居ました」
「それは、マイクから聞いて居ましたよ、健太くんはネイティブよりもアメリカに馴染んでいるので、手の掛からない学生さんですよ、ハイスクールではどこへでも推薦状を書いてくれるでしょう」

ケンタの方向転換

進路変更で驚か

「最近、僕は普通の大学ではなくマイクさんやヘンリーさんの進んだウエストポイントに行こうかと、考えが変わったのです」

えっつ!

えっつ!

えっつ!   と、3人がに同じ反応をした。

「どうしたの、健太くんかなり厳しい所らしいよ!あっつヘンリーさんがいるのだから聞いて見なさいよ、その厳しさを」「はい 厳しいことはマイクさんから何度も聞かされていました、しかし最近 心身共にダラケテしまって、このまま普通の大学では立ち直れないような気がするのです」

「もう少し時間が経てば、気力が出てくるんじゃないの?」と、お父さんは首をひねる。
「そうかもしれませんが、これからの10年くらい徹底的に鍛えなおしてもらった方が、良い様に思うのですが?」

「僕は、ウエスト・ポイントの先輩としてうれしい様な、少し戸惑いのような気分なのです」とヘンリー
「そうなのです、いまマイクさんが逝ってしまい僕がホープヒルズから離れてしまうのは、お父さんとお母さんには大変申し訳ないので、話が出来ずに来ました スタンフォードの義兄のリチャードさんを裏切るような決断ですが、許してください」

「なるほどなぁ~ マイクは軍人は向かないと思っていたが、健太くんは逆に法律家より規律のあるところで発揮されるモノが有りそうだね」
「そうね 健太くんが来た時から1年か2年で帰国するのかと思っていたが、6年も一緒に暮らせたのだからこれ以上望むのは我が儘な話よね」と、お母さんがしんみりと話す。

「済みません、生まれ育ったカルルスよりもここの生活が長い様な気がします、本当は居心地がいいホープヒルズを離れるのは辛いのですが、甘えてばかり居られないような気がして来たのです」

ご両親が快諾してくれた!

ヘンリーも協力的

「そうだな、健太くんはさっきも言ったが、学業も性格も抜群なので、側に置きたいがこの際本人が試してみたいと言う夢にチャレンジするのも長い人生のは大事なポイントかな!」

「良かったね、健太くん! 先生方ともじっくり話をして決めて下さい、僕も部隊に赴任したら電話や住所をお知らせしますから、連絡を取り合いながら、受験方法や紹介者の問題などをクリアしましょうか」
「はい よろしくお願いします」と、ケンタがヘンリーと目を合わす。

「なんか国会議員の紹介状が必要だったね、そうだブラウン会長の友達に何人か居たから相談してみようね」と、お父さん。
「僕は、アーウインのリチャード中佐とフォートルイスのバークレー中佐に連絡して、アドバイスを貰います」

「これで失礼します、リチャード中佐はこの事を想定していたのでしょうかね、今晩早速電話してみます」と、立ち上がりかけた。「ヘンリーさん、空港まで送りますが、未だ時間があるから夕食を食べてからでも間に合うでしょう」

「そうよ、作りかけたのです すぐできますから」と、お母さんがキッチンに戻った。「それでは、遠慮なくごちそうになります」「僕は、お母さんの手伝いをします」とキッチンに入り、ダイニングのテーブルの掃除や、器の準備をした。

久振りの、手伝いが楽しくもあり、浮ついている自分をる部分もあり複雑な気分である。

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