横田・アラスカ経由で留学

健太の留学

横田で乗り換え

まさにおのぼりさん

「輸送機は凄かったですね、座席もシートベルトも簡単で怖かったです」
「あれは、通常荷物が主で、人間は載せないらしいだが機体が足りなくて臨時だったらしいよ」と、話しながら基地の外に出ようと歩きだした。空軍の基地は面積が広くて、てくてく歩いていると疲れる。乗り換えのため荷物は預かったが、街へ出たいと言ったら
『巡回バスが街の中心に行きます、ちょっと先にバスストップ有ります』と、言われた。
ぶらぶら歩いていると、ジープが傍に来て
「何処まで行くの?」と、若い空軍の女性兵士が声をかけて呉れた。すかさずマイクが
「夜の便で本国に行くのですが、千歳から来たばかりで街で食事予定だが行き方が分からない」と伝えると
「な~んだやっぱりそうなのね、じゃ私が送ってあげるわよ」と、助手席のシートを倒してくれた。
「おぉ~センキュウ」と、健太を後ろの席に乗せて、マイクが助手席に。
「助かりました、マイク サタケと言います、彼はアメリカに留学する」と、健太の顔を見たので
「Kenta Hinohara is called」と、自己紹介をした。

(ねじばな)

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「メアリー・キース曹長です」と彼女も名のり、ジープは静かにスタートした。
「なにかご希望のレストランはありますか?」と、聞いて来たのでマイクは健太を見たが頷いたのを見て
「まず、賑やかなところで降ろしていただけますか?」と、低姿勢だ。
「夜は、結構にぎやかにやって居ますが、普通のレストランにしましょうか」と、駅近くの銀行やデパートが並んでいる通りを進む。マイクが
「こんな時間に私用で、外出させて申し訳ありません」
「大丈夫ですよ、私は広報に所属し行動は自由ですから、千歳さんにこれ位のサービスは常識ですよ、丁度新聞社の出張所に用事があるので、外出する予定ですから」と、ニコニコしている。
「ただ、少し気になったのが、ナイスボーイが将校と歩いているのが奇異に感じたもですから」と、健太を気にしているようだ。マイクがチョット後ろを見ながら
「そうですよね、日本の少年が軍用機から降りて来るのですから、怪しく思いますよね」
「誤解を招かないように、話しておいた方が良いでしょうね」と、健太の方を向いた。
健太も頷き、
「お時間は大丈夫ですか?お茶する時間はありますか」と、聞いてみた。
「私は、暇人の部類に属しますね。今日もチョット連絡に行くだけですから~」

メアリー曹長とお茶

オロフレ峠の経緯を話す

「じゃや適当なところでお話しします、お任せします」
「イエサーマイク少尉どの」と、お道化ながら、パーキングスペースを目で探している。
洋菓子と喫茶の店の前にジープを止めた。
「最近やっとレフトパーキングに慣れました」と、苦笑いながらシートを倒してくれた。
ケーキのウインドウの脇を進む、マイクが
「店員に席に着いたら運んでくれますか?」と尋ねると
「それでは、お決めになって頂いても好いですよ」と、ウインドウに近づいてきた。
「メアリー曹長、お好きなモノをお選びください」と、誘う。メアリーんさんは
「ラッキー」と、言いながら、指を一本たてて、次に二本たてた、甘党らしい(^^♪
「いくつでも好いですよ」と、マイクは応用に構えている。健太の袖を引いて
「健太くんも、甘いものは大丈夫だよね」と、マイクは笑っている。

4人掛けの席に、メアリーと向かい合って
「実は、私がニュースになる位の事故に合って、ヒグマの生息する原生林で気絶して居たのをこの桧原くんが、私を背に乗せて匍匐で脱出し、助けてくれたんです」
「えっ あなたがこの人を背負ったの?」と、2人を指さして確認している。さすがに手帳は出していないが、頭を上げながら記憶しているようだ。
「この話には、若干機密部分があるので、キチンとお話ししないと理解して頂けないのです」
「やっぱり裏があるのですか?」と、真顔になる。その時コーヒーとケーキが配られた。

話を中断しながら、コーヒーを口にする。
「記事などに公開しないことを約束して、お話しますと、私のジープのブレーキに細工され50メートルくらいの崖から転落し、崖の下で遊んでいた健太くんに助けられたんです」
「だって、ジープは基地から乗って行ったのでしょう?」
「そうです、当日車両の兵員輸送の野戦訓練中で、終了して休憩し帰途に就いた時でした」
「休憩中に、駐車中のジープに潜った奴が居たんです」と、説明したがメアリーはまだ納得しない顔だ。マイクは、以降の話を掻い摘んではなし犯人グループを懲戒免職や強制送還した話まですると、
「やっと分かりましたよ、でも奇跡に近い話だよね、その日健太くんが偶然洞窟に行かなければ、マイク少尉は今ここに居なかったのね!」と、言いながら
「こんな話が、公開できずジャーナリストの端くれとしても残念」と、目をつむった。
「申し訳ありませんが、メアリー曹長の良心にお願いします、これは永久に没でしょうね」
「わたしも、なんか分からないが、マイク少尉やアミーの気持ちが分かります」と、言いながらケーキをパクついた。

「今日は、私たちのために時間を割いていただき有難うございます、メアリー曹長のお蔭で横田の乗り換えが、ラッキーでした有難うございます、帰りはタクシーで帰れそうです」
「さっき出てきたところは、牛浜第5ゲートと言いますのでタクシーは分かります」
「少し気になることがもう一点あるのですが、お節介なら笑い飛ばしてください」
「なんですか、お聞きしたいです」と、マイクが聞くと
「これから、ワシントンに行くのでしょうが、軍用機はアラスカ経由ですからその軽装では風邪を引きますよって、言いたかったの」と、ウインクして立ち上がった。
「えっつ そうでした、言っていただいて有難うございます、早速長袖を用意します」と、礼をする。
「ご馳走様でした、健太くんも元気で頑張ってくださいね」と、右手を出して握手しマイクとも軽く握手しながらクルット回れ右して、出て行った。
マイクたちも、外に出てデパートか洋品店を探しながら、ぶらつく。

アラスカは寒い

カナダ上空縦断

20:00に離陸した空軍の輸送機は、旅客用なので乗り心地がまるで違う。まず。エンジン音が全く聞こえず、振動で飛んでいることを感じる程度だ。健太は生れて初めての飛行機旅行だし、東京も初めてだが5~6時間の滞在だが、基地の街だからアメリカっぽい感じだった。
午前の飛行機で疲れていたので、うとうとしていると、外は少し明るくなった。   

給油などで1時間くらい時間があるので、降りることにした。やはりメアリー曹長の言う通りアラスカの夏は、カルルスの初冬の気温だ。

横田のメアリー曹長の忠告で、ウールの長袖と下着を重ね着して、何とか耐えられる。殆どの乗客は一旦降りて、体調を整える。通りにあるスタンドでハムサンド・サラダ・ホットミルクコーヒーで朝食。未だ充分時間があるので、散歩する。此処がアメリカ本土だ。
矢張り周りに生えている草や樹木も、カルルスと違う。

薄明りの上空から見たときは、荒野のようだったが、実際は、滑走路と建物の間に高い木が20メートル位ぎっしり植えられ、滑走路の間も4~50メートルも空いていた。

時々離陸するジェット戦闘機の騒音はすごいが、大きな街の公園の風情がある。マイクも、オロフレ峠で怪我をした後遺症で、左足を引きずるように歩くが、顔色は千歳に居た時より、明るくなったような気がする。アラスカの空気を吸って気持ちが変わったようだ。

再び搭乗して、カナダの上空を南下して、ワシントン郊外のアンドリュース空軍基地に着陸、バック一つだけで残りの荷物は、マイクの自宅に送る手配をする。

国内線の、ワシントンエグゼティブ空港に移動して、ロチェスター行きに乗り換え、中型のプロペラ機で3時間位かかり、夕方になったが未だ明るかった。
ロチェスターの街は、道路やビルデングが歴史を感じさせるたたずまいで、川が多く水量もあり、時々運河が交差するように流れていた。5大湖が近いので水が多いのだろうなんて考えていると、マイクが
「バスは3回も乗り換えがあるし、一時間も乗るからタクシーにしよう」と乗り場に行く。
「ポールロードから、ベアハンドロードを抜けてハワードロードに行ってくれ」と乗り込む。

健太には、マイクの話していることが、違和感なく理解できるの不思議な感じだ。
機内の会話もある程度理解できたが、自分の耳が英語に慣れて来たようだ。川や運河も整然と整備されているが、道路も交差点が少なく上下の立体交差するので気持が良い、カルルスの九十九折のカルルス街道くらいしか知らない健太だ。

それにしても大型のセダンは、乗り心地がいいのでニンマリした。
それに気づいたマイクが
「健太くん、どうしたの?」と心配げに覗き込む。
「昨日の輸送機と、タクシーの乗り心地を比べていたので~」
「あれは酷かったね、荷物専用だからね防音装置もないし、椅子も酷かった、次は絶対断りますから」と、笑い出した。

家が近くなったらしく、マイクのも元気が出て来たようだ。