千歳の最終章

健太の留学

留学の最終チェック

物怖じしない健太

ケリーの慰労ランチから1か月が過ぎ、8月になって、健太の留学研修は一通り終わった。
4月から教わった英会話(conversation)から読み・書き・文法(Reading and writing and grammar)の復習を週に3日位講師の都合に合わせ、半日くらい続けている。

健太は、自室と図書館で自習形式だが、解決しない部分をノートに書いて置く。
たまの顔合わせだが、鋭い内容の質問があるので、マーサー夫人も驚いて真剣に向き合ってくれる。それは、図書館で遅れ気味の米国本土の新聞や雑誌を読んで居るため、これから行く米国の事が気になるためだ。

米国本土の新聞では、帰還兵の就職と暴力沙汰の犯罪のニュースが多く、外交ではヨーロッパの復興や朝鮮戦争と日本との政治交渉問題が、赤裸々に書いてあるので、気になった。
日本国内の新聞は、学生や労働者が政治に対する反対運動が毎日のように記事になって居る。反対運動の記事が多いが、政治の記事は少ない気がする。

頭が疲れると、外を歩き気分転換をする。
午前中スポーツセンターの傍を通ったが、音がしないので覗いてみると若い女子の下士官が、モップで床を拭いていた。以前山口さんが言っていたマットの部分も、そのままあるので、使えるか聞いてみた。

(額縁あじさい)

にほんブログ村 シニア日記ブログへ
にほんブログ村

サージェントに交渉

ドウギってな~に

「何のトレーニングですか」と、聞いて来た。健太の顔を見ていた彼女が
「あっ あなたですか?留学予定のボーイとは」と、思い出してくれたらしい。
「はいっ ヒノハラ ケンタと言います」と、丁寧に頭を下げて礼をした。
「御免んなさい、私はジェシー軍曹です」と、右手を出して握手。
「2か月くらい前に、山口夫人から問い合わせがあり、マットの分を貸してくれますか?と言われ、空いている時間ならいつでも好いですと答えました。そう言えばその後、来ていないですね」
「そうでしょう、僕と柔道のお稽古をやる予定で、お尋ねしたと思いますが時間が無くて~」
「前は、部隊に柔道や空手の出来る隊員が居て、マットをセッテングしたようですが、最近はほとんど使って居ないので、バスケやフットボールの後で昼寝に使う位ですよ」と、笑う。

「それでは、今日の午後、道着を付けてお借りします」と、頭をさげた。
「ドウギってなんですか?」と、不思議な顔をした。
「あっ 御免なさい 柔道のユニホームです」
「あ~あの着物のような、分厚い白いのですか?」と、下士官のおねいさんは詳しい。
「はいっ 有難うございます」と、礼を言ってランチに向う。

マイクとランチ

柔道談義

ランチで、マイクに会ったので士官用のコーナーで、スポーツセンターの話をすると
「そう言えば、山口さんが気にしていたなぁ~」
「なんか有りましたか?」と、健太が聞くと
「いやぁ 『健太くんと柔道の練習ができなくて残念だな』と言っていましたよ」
「そうでしたか~僕のお勉強で時間が無かったんですね」と、健太も責任を感じた。
「毎日はムリでしょうから、『時々使わしてください』と、頼んだら『ほとんど空いていますからどうぞ』と言われました」
「健太くんは、大きく成ったね~」と、マイクが頼もしそうにみながら、
「それでは、山口さんに伝えて置きましょう、午後の方が良いですか」と、マイクが仲介役だ
「僕は、千歳に来てからほとんど同じですよ、きょうは、2時から2時間くらい汗を流します」
「えっ独りでそんなに長くですか?」と、マイクが驚く。マイクの声に周りも驚く。

マイクが大声

「あっ御免なさい」と、マイクが中腰で周りに会釈をする。
「カルルスの頃は、一人で半日ぐらい受け身や筋力運動と座禅をやって居ましたから~」
「そうか、桧原さんも忙しい人だから、自然に一人の時間が長かった様ですね」
「友達が一緒の時は、30分くらいの準備運動ですが、一人の時が多かったので受け身が他人の10倍くらいはやったと思います」
「前に桧原さんが言っていましたよ、『健太は受け身で体を作ったから、投げても払ってもすぐ立ち直るので、ケガが少なく柔道を冷静に熟しているよ』と、感心して居ましたよ」
「冷静にコナしているわけではありませんが、相手の仕掛けが見えることが有りますね」
「こんなに若くして、余裕だね」と、マイクが感心している。