初めての手紙

健太の留学

ケンタに配慮トウキング スロウ

両先生のご主人も

「桧原くん、私の話はご理解頂けましたか」と聞いて来た。
「Thank you for speaking slowly」(はいっゆっくりお話しいただき有難うございます)
「はい分かりました、ウイル副司令、ご挨拶はどうします?」
「食事を始めてからで良いでしょう、このコーナーは貸し切り状態だからゆっくりしましょう」と言う。
「それでは、飲み物を用意していただきましょうかね」と、ウエィーターの方を見る。
健太には、ジュースで大人にはワインを注いでいる。
ジェームスは、乾杯の音頭をトーマスに指名し、みんなもグラスを持って立ち上がった。
「桧原さんとは、初めてお会いしましたがマーサーが自宅に帰ると、いつも健太くんの話をしてくれるので、すごく身近な存在でした。想像以上にしっかりした体と此の落ち着きは12歳とは思えません、本土の何処へ行っても十分対応できます。桧原くん本日はおめでとうございます、乾杯」と、グラスをあげた。みんなも唱和して、盛りだくさんのお料理に挑戦!

 

(キンシバイ)

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ウエルはカルルスの出合

ケンタは両先生に感謝

ウイル大佐の挨拶は、ご自身の養子問題も片付き、来春本国に帰還するころに日本に呼んで健太の研修を参考に、準備したいと前置き
「私は千歳に勤務出来、カルルスと言う素晴らしいユートピアで、健太くんや千治さんなど住民と交流できたことが、大事な宝物です,健太くん留学を楽しんでください」と、挨拶した。

ジェームス中隊長が
「お食事しながら、当事者の健太くんとマイクからコメント頂きたいが、健太くんどうぞ~」
健太は、直前までいろいろ考えていたが
「きょうは、お忙しい皆様にこの様にお集まりいただき有難うございます。まだ大人でもない私のために盛大なディナーをご用意いただき、申し訳ありあせん。マーサー夫人と山口夫人の熱意にほだされ乍ら、こうして拙い挨拶が出来るようになりました」と、一息ついてジュースをふくむ。
「今年の3月まで『How are you』も、喋れなかった自分が、ジュニアの体験入学もできました。みなさまから、いろいろとホローして頂くので、何とかやってきましたが、見回しても日本人が居ない世界がどんなのか不安ですが、チャレンジします。本日は有難うございました」
出席した全員が立ち上がって、拍手してくれた。レストランのスタッフも驚いて出てきた。
「次に、大事な当事者でもある、マイク サタケ少尉からお願いします」と、マイクを指名。
マイクは、自分の不注意が大きな事故になり、その事故処理の過程でカルルスの皆さん、特にこの桧原健太くんの渾身の救助作業で、生きのびることが出来ましたが、部隊や上官の皆様には多大なご迷惑をかけました。両先生と部隊の皆様ありがとうございました。健太くんの留学には私の帰還と並行して移動し、ロチェスターの私の母校にジュニアとして入学予定です。

マーサー夫人はカリキュラムと吸収力

山口さんは柔道の心身統一

ジェームス中隊長が、全席を見回して
「続きのコメンティターは、席の順にお願いします」と、マーサー夫人と顔を見合せた。
「私は長年本国のハイスクールで勤務し、ロチェスターにも7年程勤務しました、今回は皆さんがイレギュラーだと居ますが、学習とはこんな形の方が良い結果が出来ることを立証しましたね、健太くんのパワーが有ったから完成した部分も有りますが、素晴らしいカリキュラムでした、健太くん、あなたならどこへ行っても通用するバイタリティーが備わって居ます、あなたは頑張らなくとも普通にやって行けばいいでしょう、ありがとう」
隣のトーマスにタッチ
「私は、ワイフからの受け売りで、それとなく想像していたがご本人の印象は、また違った部分を感じました。私も若い兵士を多く育ててきましたが、この若さでこの落ち着きは、これまでに無い感慨です、柔道をやっていると聞きましたが、日本武道の神髄かと思いました」
「桧原くん、マーサーも言っていました、普通にやって行けば結果は常に後から付いてきます。今日は、本当にありがとうございます」と、心あるコメントを頂いた。

「私は、健太くんと会った時からトーマスさんが感じた印象と同じで、高卒くらいの雰囲気を持っていながら、ギラギラした若さではなく大人でもない落ち着いた人でした。後で聞くと6歳ごろから柔道のお稽古の前に、1時間以上は座禅を組み瞑想の境地を経てから、受け身の基本練習に入ったようで、普通のお子さんとは違う成長過程が、常に物事を冷静に見る眼を育ったようですね、私も柔道を経験していますが、座禅や瞑想には時間を掛けませんでした。私はラッキーです、こんな素晴らしい人と同じ時間を共有できたことが誇りです、健太くん有難う」

ケリーは即戦力

ジェームスは忌憚のないコメントに感謝

ウエルは人の信頼関係

次のハロルドは
「私も、トーマス少佐と同じで、ワイフが関わって来た『桧原健太留学プロジェクト』のうわさ話から興味を抱き、先日も札幌のランチ会に飛び入り参加したのでした。やはり年齢相応でない精神的に成長した桧原くんの存在は、私たちに心地よい時間を共有さしてくれました、ほんとは柔道の練習でも試合でも見たかったもですが、もう時間が無いようですね、ヒノハラケンタくん、有難うございました」

「最後は、最近曹長に昇格したばかりの、ケリー曹長にお願いします」
「ジェームス中隊長に進行係を任せてしまい申し訳ありません」ジェームス中隊長に会釈し
「健太君とは、マイク小隊長の夜間入院でカルルスの藪の中から、カーチェイスしながら登別国立病院に駆け込んだ仲間ですから、7か月くらいになりますが、最初は高校生くらいに思っていました。当時、不祥事の発端を起こした張本人が、ケーリー曹長と言う名前なので、殆ど同じで紛らわしいのでK軍曹と名のって居ました」
「最初日本語でぼそぼそと話して居た健太くんが、小隊長が退院するころには短い会話が出来までになりました。留学の話が有って、お姉さんが参考書やテキストを用意して呉れたそうで、ものすごい進歩でした。温泉に裸で入る場面では手取り足取りの大騒ぎを手伝ってもらいました。健太くん有難うございました」

最後に、ジェームス中隊長が
「皆さんのお話で、健太くんの人となりを丁寧にご披露していただき有難うございます。今回この会場にしたのは、ウエル大佐のご英断で有難うございます、急な話に皆様のご賛同いただき私もホッとしていたところです。マイクたちが、ビッフェスタイルで、こじんまりやろうとしていた企画を、横取りして申し訳ありますん。健太くんのお付き合いが、短いながら通常では得られない意義深いものだったことが、深く感じます。ウエル副司令、最後にお願いします」
「そうだね、一人の少年のお話が、ご本人を前にしてこれほど丁寧にお話して頂き、感慨深いものを感じました、縁もゆかりもなかった人たちが、こんなに感動することは重大なことです。戦争で占領・駐留と言う立場でも、人と人の本当の繋がりが痛いほど感じました。
ヒノハラケンタくん、ご参加していた皆さん、ありがとう」と、散会した。

その夜、健太はカルルスのおじいさんと、札幌の家に長~い手紙を書いた。