マイクが撃たれた-2

健太の留学

バタバタと西海岸へ

ヘンリーはWPの同期

その日の夕方(時差3Hr)、シヤトル・タコマ国際空港に着いたサタケの家族3人が出口カウンターを出ると、陸軍の将校が1人と兵士が敬礼して挨拶してきた。出発前に電話の有った大隊本部に電話を入れたが、気を遣って迎えに来たようだ。「サタケ様ですか?わたくしサタケ少尉と同期のヘンリーと言います、お迎えにきました」「ありがとう、ワイフのキョウコと留学生のヒノハラくんです」「それでは、事情は車に乗ってからお話しますから、お荷物は持ちますので」と、3個のバックを運転手らしい兵士と少尉の階級章のヘンリーが持って歩き出した。

外に出ると、薄暗くなって駐車場まで行くのかと思っていたら、タクシー乗り場の先のスペースに、警察官が無光沢の大型セダンを守っていたようだ。少尉が「ありがとう、助かったよ」と軽く会釈しながら握手をして「さぁ どうぞお乗りください」と,ドアを開けた。
3人が座っても余裕がある。運転手の兵士もしゃべらないが、きびきびと動き4人が座ったのを確認すると「出発します」と小さな声で、合図した。

 

(満天星ツツジ)

マイクは演習の作戦会議に参加

会食中の襲撃

ヘンリー少尉は、助手席に乗ったが直ぐ後ろ向きになり、「わたくし、ウエストポイントでマイクと同期でした」「あーあなたのことはマイクから聞いて居ました、航空隊だと聞いて居たと思ったが?」「はい 昨日演習の打ち合わせで久しぶりにマイクと同じ会議に出席しました」ヘンリーの話では、陸戦部隊と航空隊が連携した作戦会議が有り、士官学校卒業以来初めて会うことが出来たので、会議後夕食をとることにした。同じ会議に出席した航空隊と陸戦部隊の関係者は、戻ると言うので部隊の向かい側のホテルので夕食をとりながら、卒業以来の空白の時間を埋め合わせた。

マイクが、夕食後トイレに行ったが中々戻らないので、ボーイに聞いて見た。「さっきトイレに行くとき会釈しましたが、戻らないのですか?」と逆に聞かれ。ヘンリーは駆け出すようにトイレのドアを開けると、手洗い場にうつ伏せになって居るマイクを発見し。ボーイも付いてきてので2人で抱き起したら、胸から出血して呼吸しているがかなり弱いことが分かった。

「すぐ救急車か、ホテルのドクターを呼んできて!」と命令し、静かに寝かせながら上着を脱がしてみると、背中から弾丸の貫通傷が大きくあり、出血が多いので自分のハンカチや、マイクのハンカチで傷口を抑えた。最初に飛び込んできたのが女性で、カウンターにいたお客さんで現役の病院勤務の看護婦が、直ぐヘンリーと代わりり傷口をホールドしながら、脈をとりながら「大分弱くなっているね、すぐ輸血が必要です」

ドクターは不在のようで、ホテルの診療所の看護婦が救急用のバックを抱えて走ってきた。二人の看護婦は、手際よくTシャツまで切り裂き、貫通口を消毒しながら血止めを試みるが、なかなか止まらない。「このまま移動しましょう、私たちが付き添いますからどこの病院にしますか?」「10分くらいでアディガン・アーミー・メディカルセンターがあるのですが、ジープじゃ揺れるから悪いな」「それじゃ、警察のパトカーに先導して貰い、乗用車で行きましょう」と、お客の看護婦が提案した。

「私が部隊に報告して、警察と救急車を手配します、少しの間お願いします」と、ヘンリーがカウンターに走った。ホテルの従業員と看護婦2人で、ホテルの玄関に移動したとき制服の警察官がが飛び込んできたが、血だらけの軍人が運ばれてきたので驚いていたが、少尉が状況を話すと、「それでは、直ぐパトカーに乗せて下さい、きついけどみな乗れるから」と言いながら「ホテルで銃撃事件、至急捜査班を派遣せよ、被害者を陸軍病院に移動するので後は頼む」と無線で話しながら「君は、事情を聴取しながら、ホテルを封鎖しなさい」と、若い警察官だが実に手際よく手配しながら、自分は運転席に座った。

お客の看護婦が対応

パトカーで搬送

「どんな症状ですか?」と、後ろの看護婦に聞きながら走り出した。「済みませんです、救急車代わりにしてしまって」「いや パトロールカーは救急車の元祖らしいですよ、昔は医療用の車は無くてパトロールカーが兼ねていたようですよ」と、言いながら赤色灯付けながら、サイレンを鳴らして渋滞場所は反対車線をフルスピードで、5分も掛からないで到着した。

ホテルから病院に電話を入れて貰い手配したので、救急患者入り口が大きく空き放され、救急搬送車が待って居た。ベッドに移すと同時に酸素吸入マスクを付け、付き添ってきた看護婦から説明を受けながら、手早く患部を点検し、輸血の手配をしながら移動を始めた。戦地じゃ無い病院のスタッフも、軍人が血だらけで運び込まれた事は初体験で、戸惑いがあった。交代したお客の看護婦は、ワンピースが真っ赤でホテルの看護婦も白衣が血だらけで、パトカーの後部座席に乗った。若い警察官が、「私たちは、ホテルの捜査班に状況の説明に直ぐ戻ります、詳細は後で伺いに来ます」と、軽く会釈しパトカーに飛び乗り動き出した。

病院には、部隊関係者が何人か到着していたが、戦場で人間の生死に慣れてきた関係者も、街中で事件に会うと一般市民と同じ条件で驚愕の表情だ。ヘンリーは発生状況を説明するため、病院の会議室を借りて部隊関係者に状況説明をした。マイクは、輸血で少し呼吸が安定したが、体温が上がらず全身に温湿布を巻きつけた。弾丸は心臓と肺に傷を付けて抜けていたが、呼吸が不安定なので未だ手術は出来なかった。