オロフレ峠の遺恨?-3

健太の留学

ホテルサイドも全面協力

ヘンリーは友人の危機に必死

ヘンリー少尉は報告を5分くらいで済ませ、折り返しホテルに向かった。部隊のMPも到着、先ほどの警察官を探してみたがパトロールで居なかったが、同じ署の鑑識やら、刑事やらごった返していた。ヘンリーは、最初に接触したボーイを探すと、少し浅黒い顔を真っ青にして出口のドアの脇に立っていた。ヘンリーが近づくとホッとした表情に戻り、何かを話しそうになったが、手を上げて、止めながら「少し聞きたいのだが、静かなところは無いですか?」
「はいっマネージャーに言われて待って居たのです、兵隊さんが来たらご案内するるように」と、先に歩き出しカウンターに「マネージャ  先ほどの兵隊さんをご一緒しました」と、ヘンリーを紹介した。

「はいっどうぞ、あっマネージャのシンプソンです、ご足労有難うございます」とマネージャ「わたくし、航空隊のヘンリー少尉です、撃たれたのが親友のマイク少尉ですが、手掛かりはありましたか?」早口で質問、シンプソンが、カウンターの奥のドアをあけて小部屋に案内した。シンプソンが、経過を話した。目撃者は何人か居て、今、警察の担当が話しを聞いて居るようだった。最初の目撃者は、ここにいるロバートだがヘンリーが来るまで、警察にも話さずに待って居たのは、銃撃したのは陸軍の制服を着た軍人らしいので、打合せが必要だと判断した。

 

(やまゆり)

疑わしい軍人が

モンタージュ作成

フロア係りのロバートが、一人で行動する軍人が居るのが気になり、マークしたがトイレに入るのを確認、トイレなら問題ないと思い離れた。それから15分くらい過ぎて、マイクがトイレに行くときロバートが軽く会釈してすれ違った。ロバートは一階のフロア担当なので、エレベーターや玄関のドア付近などをチェックしながら歩いていると、5~6分して最初の軍人が一人で少し足早に玄関から外へ出てゆくのを見送った。

「その軍人の服装とか、階級は分かりますか?」「いや階級は分かりませんが、ヘンリーさんのような将校では無いようでした」「人相なんかは?」と、ヘンリーが矢継ぎ早に質問、
「30歳前後で、少し暗い感じで身長は私と同じくらいですから、5.8フィートくらいでした。写真でも見れば分かるかも知れないですが、マネージャ 、サリーさんに書いて貰ったら、イメージが出るんじゃないですか」

「あっそうだ、すぐ呼ぼう」と、受話器を取りながら、「美術大学の生徒ですが、企業実習で半年前からいろんな職場を体験しているですよ」「もしもし、シンプソンだが実習生のサリーさんはどこかね、急用なのでカウンターの事務所に来て欲しいんだがー」「頼むっ」と電話を切った。「先日、ロビーで置き引き盗難事件があって、このロバートが記憶を辿りながら、そのイメージをサリーがイラストして、警察に渡したら手配中の窃盗団一味で、サブウエーの駅で逮捕できました」

「それは頼もしいですね、お願いしますうちのMPに会い、部隊に電話しますので席を外します」と、立ち上がった。するとシンプソンが「この電話を使ってください、あっそうか 機密事項が有りますね」「それなら、私たちが席を外しますから、この部屋をお使いください」「申し訳ありません、外にMPの幹部が居ましたら、よこしてください」「はい わかりました」とシンプソンとロバートが直ぐ出て行った。

中隊長も混乱

美大生のサリーさん起用

大隊本部に電話し、マイクの上司バークレー中隊長をコールした。「航空隊のヘンリー少尉です、現在まで捜査中に判明した部分を報告します、ホテル内で食事して、一人でトイレに行き、銃撃された状態までは病院で話しましたが、銃撃した容疑者らしいのが、陸軍の制服を着用していたようなのです。いまホテルの従業員の目撃者がモンタージュを作成中です、完了したら大至急届けます」と、バークレーは、「君は見て居なかったのか?」

「はい ここは街のレストランと違うので、兵隊が一人で入ることは無いようなので、単独で動いていた兵隊を不審に思いボーイがマークしたらしいです、トイレに入ったので離れたらしいのですが、20分くらい後に急ぎ足で出て行ったようです」と、ヘンリーが早口で報告「こっちは、不良隊員をあぶりだしてみるが、モンタージュがあれば好都合だな、もう一つマイクの家族とか友人に連絡を入れたいんだが、おれの知っているのは、アーウインのリチャード中佐しか知らないんだが、君は知っているか?

「私も配属が違うので、知りませんがマイクの友達が中佐ですか?」「そうなんだ、千歳で交流があって良い友達だったよ、いま電話して置くよ、リチャードは俺の同期だから気心を知っているから、頼りになるのだが、マイクは意識が無いからな~、しばらく面倒見て呉れよ航空隊には電話して置いたから」「はいわかりました、電話をきります」

電話が終わるのを待って居たように、MPの曹長がドアをノックしていた。「ご苦労さん、航空隊のヘンリーです、私と夕食をしてトイレに行って銃撃されたんだ」「警務隊のチェイス曹長です、地元の警察が捜査中で具体的にはまだ動いては居ません」「少し事情が変わるかも知れないんだ、陸軍の制服着用の不審者が目撃されており、外部に逃走して居るかも知れない状況だ」「部隊のものですか?」

「特定できないが、部隊本部には1報を入れて、ここは地元の警察に任せて、部隊の出入のチェックを指示した方が良い様に思うのだが、どう思うかね?」「そうですね、関係者なら内部調査も含めて、ここから離れても大丈夫なようですね、警察に任せましょう」「じゃ部隊本部に電話して、指示を仰ぐか」「私も、警務隊本部に連絡して、駐留地外の捜査を警察に託すようにします」「いまモンタージュを作っているから、それも警察に流そう」「まだ帰隊して居ない可能性もあるからその辺がポイントですね」「氏名が分からないし、変装している可能性もあるから、そうしよう」

モンタージュの効果

チェィス曹長の記憶

二人は、、各々の上司に報告しマネージャ室をでた。丁度、シンプソンマネージャが、ホテルの制服を着たサリーを伴って、カウンターの奥でモンタージュをコピーしていた。「マネージャ、有難うございます、連絡は終わりました」「こちらは警務隊のチェイス曹長です、ホテルや市街地の捜査は警察に任せて、軍人なら部隊に戻って作戦を考えます」「今丁度、出来たところですが、ロバートにの話だと、写真のように似ていると言うのですが」と、コピーを1枚づつ渡した。

「あれっこいつどこかで良く見る顔だな~」と、チェイスが大きな声を出した。「知っている奴か?」「いや 知っているようで、よく分からないんだ、誰だろう??」と、悩みだした。
「良く見る顔だが、思い出せないんだ」チェィスが、苦しそうな顔でコピーを睨んでいる。
「まだ若いのに、ボケるには早すぎるよ」と、ヘンリーが珍しく冗談を言った。サリーは笑いだし、シンプソンが笑いを堪えて吹き出しそうだ。

チェイスは、モンタージュを睨みながら、真剣な顔で「う~ん」と唸った。「サリーさんでしたね、これから帽子の無いのは作れませんかね」「はい簡単ですよ」とペン入れとスケッチブックをとりに行った。「帽子の無い場合とは何なのだ、通常は着帽が原則だよ」

「あっ分かった、あいつだ」と,チェィスが大きい声を出した。「誰だ?」「制服じゃなくて、掃除や植木などの手入れなどをやっている、雑役で作業服がいろいろなんだ」
「部隊に常駐?」と、ヘンリーも真剣だ。「その辺は分からないが、手配しましょう」
「もう一度電話を貸して頂けますか?」と、ヘンリーがシンプソンの顔を見る。
「はい どうぞ 私の部屋に戻って下さい」と、シンプソンが道を開けるように身を引く。
「私は、警察の捜査班に事情を話しますが、良いでしょうか?」と、チェイスがヘンリーに聞いて来た。「モンタージュを捜査の資料に渡して、さっきのように我々が部隊に戻ることも伝えてくれ」と、チェイスは、コピーを何枚かもって捜査班に説明に行った。

シンプソンマネージャは、サリーさんにお礼を言いながら、捜査中のホテル内の見回りに出かけた。ヘンリーの連絡で、雑役小隊のメンバーに千歳から強制帰還した25歳の兵隊が居ることが判明した。