ナンシーのベストプラン②

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ロチェスター観光案内所

10分くらいして

「ジャパニーズ ボーイ」と、さっきの窓口から少し離れたカウンターで先ほどの女性職員が手を挙げて呼んでいた。ケンタは、ニックと顔を見合わせて同時に立ち上がった。「イエス マイネーム イズ ケンタ ヒノハラ」と、名乗ってしまった。

「オ~ ミスター ケンタ 少しコンパクトなプランになりますが、夕方おそくならない程度に帰るなら、これくらいの距離が良いのじゃないかと、おもいます」と言いながら、タイプで打った複写のプランを2枚出してくれた。同じものだから、コピーされたものだ。

(さすがゼロックス発祥の地だ、3年前に発売された複写機が、市の施設で使われていた)
(もちろんケンタは知らないことで、ニックも認識していない)

(ゆりの花)

「このプランは、少しコンパクトに作ってみました、ルート590と390の内側を基本に考えて夕方の帰りを想定しています。基本的に目的地が無い場合は、大きな街や施設・観光スポットを狙ってゆけば、次の乗り換えがスムーズに設定できます」「最初、イーストのロチェスター図書館に向かいます、バスストップが近くにありますし、ここから西の方に向かいます、ジェネシー川の近くには大学やロチェスター空港があるのでここでも乗り換えが、うまくいきます」

「ルート90は5000キロもあって、国道としては世界一と言われています、車で移動するには早くていいのですが、街や施設から離れた場所を通るので、ローカル的には不便ですね」「うわ~ 凄い 乗り換え時間も分かるし料金も書いていただいて、有難うございます」と、ニックが大喜びだ。「ありがとうございます、こんなに短時間で我が儘なプランを作って頂いて申し訳ありません」と、日本式に丁寧に頭を下げた。

「話は違うんだけど、ミスターケンタは、柔道をやる人ですか?」「あっ はい日本の家に柔道場がありましたので、小学校に入る前から道場で遊んでいて自然に覚えました」「いや~私の弟がハイスクールで柔道をやって居まして、≪シカゴの大会で日本から留学したばかりなんだけど、全試合一本勝ちで優勝したんだ≫と話して居たのを思い出したので、もしかしてミスター ケンタ・ヒノハラではないかと思ったんです」

「そうです、そのミスター ヒノハラが彼です」と、ニックが自慢げに紹介して呉れた。
「まあ~私も家に帰ったら自慢できるは、このノートブックにサインして頂けませんか?」と、B-5版くらいの手帳を出した。「サインですか、慣れていないので~」 ちょっとチュウチョしていると「漢字と英語で書いてあげればいいと思うよ」と、ニックが助言してくれた
「お姉さまは、ネームプレートの≪ミス ナンシーさん≫で良いですか?」

「はい、名前も入れてくるんですか、うれしいわ」と、はしゃいでいる。
ケンタは、英語で
To Miss Nancy
by. Kenta Hinohara
桧原 健太
25.11.1961

一応書いてみたが、もう直せないしそっと手帳を返すと、ナンシーは
「センキュー センキュー」と嬉しそうだった。あまりにうれしそうなので、ケンタたちも思わずにこにこして愛想笑いしながら、「それでは、チケットを買って出発します、ここの手数料はいくらでしょうか?」と、聞くと「ここは、市の案内所ですから、No Moneyですよ、また来てくださいね」「有難うございます」と、チケット売り場に移動した。

割安の1日周遊券

チケット売り場

路線図を見ながら2人で相談していると、後から「ミスター ヒノハラ 言い忘れたので追ってきました」と、ナンシーさんが後に居た。「今回の、プランは1日周遊ですから、同一ラインで設定しています。早い話どこで乗り換えても同じバス会社のバスなので、「1日乗り放題」のチケットを買うと3分の1くらいの値段になりますよ」と、ナンシーさんが言う。「それは助かります」とニックがお金を出そうとすると、「じゃ2番の窓口に並んで、買ってください」

「【おのぼりさん】で、申し訳ありません」と、健太が頭を下げてお礼をした。

「【おのぼりさんって】どんなことですか?」と、ナンシーが不思議な顔で聞くので、ニックを見たが彼も肩をすくめて、分かりませんと言うジェスチャーで、窓口にお金を出している。ケンタは、仕方が無いので千歳で聞いた山口さんの話を引用して、
「田舎の人が始めて都会に出て、≪うろうろしたりわいわい騒いだりしている状況を、(おのぼりさん)だあ~と、笑いモノにすることらしいです」と、答えると

「それは仕方ないですよ、知らないことなんだから笑ったら失礼よ、でもそれはおもしろい表現ね」と、感心している。ニックが、チケットを2枚持って「はい、一日券です」と、嬉しそうに戻ってきた。

「最初の行き先は、エリー運河沿いの図書館や、学校・お店も多いかな、にぎやかなフェアポートまで行くので、バスの終点まで乗った方が面白いかもしれないね」と、言葉でも案内してくれる。

「そこで、西行きを決めても良いでしょうね、では、行ってらしゃい」と、一歩離れた。
「有難うございますと」と、ニックまでが頭を下げて礼をしていた。

バス乗り場に五台のバスが並んでいて、一番端っこに止まっているのが、そうらしい。
乗客は10人位で、子どもはケンタたちだけだ。珍しそうに見られたが、ニックが大きな声で
「さっきの(おのぼりさん)の話は、今何となくわかったよ、僕たちが その(おのぼりさん)の仲間だね」

「そうだね、僕は本物だがニックもいつも車で移動するなら、バス乗ることは珍しいのかな」
「うん スクールバスはチケットはないし、路線バスに乗るのは珍しいよ」

「僕が案内するつもりだったが、1日乗り放題のシステムや、コースにどんな町が有るかなんて全然知らなかったし~ナンシーさんに会えて良かったね」

「僕も、道路地図があればいいと思ったが、それだけじゃ無理だね」「#96を南進して、#90のハイウエーを西に行けばいいと思ったけど、今日中に帰れない大回りのコースだったんだ」「乗用車で移動するのとは、違うようだね」と、ケンタも関心。「家に帰って笑われるところだったね」と、マイクも神妙な顔だ。

フェアポートの元校長先生

二人で、話し合っているのを周りの人たちは、にやにやしながら笑っていたが、「君たちは、本当はどこへ行くの?」と、向側の中年の男性が声を掛けて来た。「私が、ロチェスターを知らないので、ニックに案内して貰っているのですが、今日はバスの乗り換えを練習中なのです」

「なるほど、バスの乗り方の練習か~ところで君は外国から来たの?」「はい 日本から留学してホープヒルズのジュニアに入学しました」と、ケンタが返事。「何 君はいくつなの?」

「はい 13才です」「えっ 13才ならこの春エレメンタリーを終わった位なのかな」と、矢継ぎ早に質問してくる。「はいそうです、今年の三月末に日本の北海道の小学校を卒業して、8月に来たばかりです」

「日本では、英語の学校かね?」と、中年のおじさんが相当な関心時らしい。「小学校では、英語は学びませんし中学校でも、会話は初歩だけのようです、僕はある事情で今年の2月ごろ留学が決まり、それから4か月くらい2人の先生にお世話になって特訓しました」

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