合宿初日(サマー③)

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総勢35名合宿

座禅と瞑想から

合宿も基本の座禅と受け身や柔軟体操は、全員が縦横均等間隔で、きれいな動きが観覧のベンチからもホッとした顔が並ぶ。当番の父兄や、ブラウン会長の顔もあった。ランチの担当だろうか、白い制服の知らない人が何人かいる。

全員、大会出場の候補選手だが、前田先生は当初10名に絞っていたが、実戦形式では数が少ないので東西10名の合計20名を指名した。残りの部員は、OBとコーチが付いて道場を2分割にして、通常の乱取りなどの練習から離れて試合形式で、候補の練習と同じ方式で進める事になった。ニックも段級の資格試験に、エントリーするくらいの実力が付いて来たので、候補組みに入って、少し緊張した顔をしている

マネージャーのケイートさんが、移動式の黒板に候補選手の名前を、東西に分けて書き出していた。前田先生は、5人一組の4チームに編成し各組みの大将だけを先生が決め、試合の出場順番はチームで決めるように指示して組み分けをした

(やまゆり)

「この組み合わせは、毎日変わりますのでその都度作戦を組み立てて試合をしてください」各大将は、シニアの有段者で大会出場の経験者が占めている。ケンタはBチームでニックはDチームになった。勝ち抜き戦ではなく、勝ち数で決める方法で、始まった。

どんな試合でも同じだが、試合の勢いをつける為弱い者は中堅か、副将くらいの出番になる、先鋒を必勝の意味でも実力者を充てる。チーム毎に5人で策を練りながら、決めたメモをケイートさんに渡した。各チーム毎に、ニックネームなどで、メンバー表を書いた。

前田先生が、「試合の引き分けはありませんので、必ず決着を付けます」

「それでは、開始します」B組は、段もちではないがケンタが押され先鋒に、Dチームはニックが次鋒で期待されたらしい。組み合わせは抽選はせず、A対B・C対DでAチームは今年の春初段になった4年生のロバートを立てた。ケンタは、練習でも2回くらいしか手を合わしていないので、様子を見ることにした。ケンタより10センチ以上身長が高く、体重も80キロ位有りそうだ。

相手はジュニアに負ける訳にはいかないと言うような、力任せでグイグイ押してくるのでケンタは逆らわず、右で前襟をとりながら少し下がると、そのまま押し倒すような勢いだが、ケンタが一瞬堪えて押すと、相手が意外そうな顔で、ゆるんだ。

瞬間、左の前襟も引き両襟で引身体を丸めるように相手に下に潜り込み、右足で相手の左足の付け根付近を下から押し上げた。

ロバートは頭を下げながらケンタの体の上を飛んで、裏返しになりながら後方に落下した。相手が大きい時には有効だが、崩れたときは不利になるので「捨て身技」と言われている。

ロバートは、何が起きたのか理解できず、仰向けにひっくり返った状態で、起き上がらない。ケンたは心配で、側に行って顔を見るとロバートが照れたように右手を出して、ケンタが握って起き上がらせた。

前田先生は、苦笑いしながら「一本!」と、宣言して勝負がついた。

「今の勝負は、Aチームが腕力で押しつぶそうとする感じがしたが、Bチームが一瞬の隙を有効に使った技でした」

「勝負に感情が入り過ぎると、既に勝負がついてしまいます、柔道は相手があって初めて成立するスポーツです。『相手をして貰ってありがとう』という気持ちが大事です。冷静に相手を見て作戦を立てて下さい」

「はい次、Cチームの先鋒と、Dチームの先鋒です」

節度ある優雅な合宿

合宿初日

トーナメントはBチームとCチームが決勝戦に進出、3勝2敗でBチームが勝った。

約1時間半で決着したが、前田先生が丁寧に審判し、指導と評価もコメントしながらゆったりとした時間だった。日頃の練習とは違った角度から、柔道を見ているようだ。

観覧の父兄もランチの準備に入ったようで、当番以外の5・6人が残っていたが、静かに柔道を見ているので部員の練習で畳をたたく音だけが大きく聞こえる。11時30分頃観覧ベンチにいた若い人がコックのユニフォームで、
「ランチの時間ですよ~」と、声をかけて来た。丁度、練習試合が一段落して先生とコックが、目を合わせてサインしたようだ。
「それでは、みんな汗を拭いて、手を洗って食堂に行きましょう」と、ランチタイムになった。

部員が一斉の立ち上がり、前田先生に
「有難うございました」と、礼をして、ロッカールーム向かった
前田先生とOBやコーチだけが道場に残り、お互いにメモを取りながらミーティングをして、生徒たちの後からロッカールームに続いた。
ランチは、カレーライスと一部ビッフェ式のステーキやサラダ、中華風の海老の揚げたものなど、盛り沢山だ。

ブラウン会長が、前田先生とちょっと話してから
「皆さんご苦労さんでした、お食事はどれを食べても良いですが、午後も練習がありますので、それを考えながら選んでください」と、言いながら、前田先生に代わった。
「父兄の皆さん、有難うございます、こんなに豪華なものを用意して頂き申し訳ありませんでした、生徒の皆さんからもお礼を言いましょう」

キャプテンのフィリップが、
「みなさま、ありがとうございます」と、大きな声で挨拶すると、続いて
「みなさま、ありがとうございます」と、部員総勢が声を合わした。

父兄の方から拍手が始まり、
「はいっ 皆さん続いて 続いて」と、トレーやフォークまで手渡ししてくれる。

全員が、着席したのを見て前田先生が
「食事時間は、約1時間です、午後の練習開始は15時ジャストからです」
「約2時間半の休憩を取ります、昼寝をしても良いですが、運動は控えて下さい、食後はゆっくりして15時に集合してください」
「教室には、行かないように涼しい所で休んでください、以上」

みんなは、わあ~と大きな声で歓声を上げている。
父兄たちも嬉しそうな顔で、生徒たちと話しながら、お水を配ったりサービスに徹している。

生徒たちが、ワイワイ言いながらも節度ある行動は、日頃のシツケがしっかりしているのが分かる。子供たちが食事が終わりそうなころから、OBやコーチと一緒にブラウン会長や父兄たちと前田先生も、テーブルに着いた。
キッチンから、コックの人が3人も合流してテーブルに着いた。

ブラウン会長が立ち上がり「コックの3人は、会社の系列のレストランからの応援です、是非参加したいと言うので、今日は初日なのでボランティアで来てもらいました」
前田先生が「本職のコックさんまで来ていただいて、有難うございます」と、礼を言った。

コックの一人が「ブラウンさんから聞いて、合宿ってどんなものか体験して見たかったのと、いつもブラウン社長にお世話になって居るので、お礼をしたかったので……」
みんなは、又立ち上がって大きな拍手で応えた。なんか、気持のいいランチタイムになった。

前田先生も、感激しているようで顔を赤くして、嬉しそうだ。
まるで、日本の祭りのような雰囲気で、合衆国のハイスクールとは思えないほどの、日本的なランチタイムになった。

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